【FILTH】2026AW-ELEGANCE DECADENCE
優雅さと退廃。相反する概念の共存。気品やエレガンスへの憧れは、常に美しく、完成されたものとして存在する。しかし、それになりきることのできない不完全さや違和感はブランドの本質でもあり、根底にある感覚でもある。
本シーズンにおける「退廃」とは、単なる退廃美ではない。経年劣化に加え、現代社会に漂う緊張やストレスから着想を得ている。紛争や物価の上昇といった現実は、日常の中にわずかな不自由さや閉塞感を生み出し、静かに蓄積されていく。
それは目に見えないまま、確実に感覚を蝕んでいく。時間の経過によって錆が垂れ、ひび割れたコンクリートのように、理想とする気品は徐々に歪み、 やがて憧れは憎悪へと変わり、その感情は対象そのものを破壊する衝動へと変化する。「気品」とは、テーラリングに象徴されるような、構築的で洗練された衣服の在り方である。 だが本コレクションでは、その完成された輪郭すらも崩していく。
朽ちたコンクリートから着想を得たアウターにリアルファーを組み合わせるなど、異なる質感や価値観をぶつけることで、 優雅さと退廃が同時に存在する状態を表現した。完成された美と、その崩壊。その境界にこそ、本質的な美しさが潜んでいる