【Yohji Yamamoto】服で表現する「反骨」と「人間らしさ」
世界的デザイナー Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)の服は、単なるファッションではなく 思想や哲学を持つ服として知られています。黒を基調としたデザインや独特のシルエットの背景には、彼自身の人生観や価値観が深く関係しています。
ここでは、ヨウジヤマモトの服作りを支えるデザイナーの考え方を紹介します。
①「反骨精神」から生まれた服
ヨウジヤマモトのデザインの原点には既存の価値観への反発があります。
1980年代当時のファッションは「華やかな色/ボディラインを強調する服/派手な装飾」が主流でした。
しかし彼はそれに対して
・黒中心の服
・体のラインを隠すシルエット
・装飾を削ぎ落としたデザイン
を発表します。これは美しさの価値観そのものへの挑戦でした。
②「女性を強くする服」
ヨウジヤマモトはよく「女性を守るための服を作りたい」という言葉を語っています。
彼の服は「体のラインを強調しない/身体を包み込むシルエット」が多いのが特徴です。これは女性を“見せる存在”として扱うファッションへの違和感から生まれた考え方とも言われています。ヨウジヤマモトの服は女性を飾る服ではなく、女性を強くする服とも言われています。
③完璧ではない美しさ
ヨウジヤマモトは「完璧なものには興味がない」と語っています。
そのため彼の服には
・アシンメトリー(左右非対称)
・ラフな裁断
・崩れたシルエット
などが多く見られます。これは人間の不完全さこそ美しいという考えからです。
④時間とともに完成する服
ヨウジヤマモトの服は「長く着る」「着込む」「体に馴染む」ことで完成すると言われています。新品の状態よりも着る人の人生が重なった時に魅力が増す服。
それがヨウジヤマモトの考え方です。
⑤「黒」という色への哲学
ヨウジヤマモトといえば黒の服。しかし彼は黒について「黒は謙虚でありながら傲慢な色」と語っています。
黒は「何にも染まらない」「他の色を引き立てる」「強さと静けさを持つ」そんな色だと考えています。そのためヨウジヤマモトの黒は単なる色ではなく哲学そのものとも言われます。
⑥Anti Fashion(アンチ・ファッション)
これは文字通り完全に切らない・縫わないという意味ではなく、西洋服の作り方へのアンチテーゼとして語られる思想です。
西洋服=「切って形を作る」
ヨーロッパの服作りは基本的にこうです。「体に合わせて布を細かく裁断する」「パーツごとに縫い合わせる」「立体的な身体の形に フィットさせる」
つまり「人体に従わせる服」です。
山本耀司の発想=「布のまま考える」
山本耀司はこれに対して、日本的な発想を持ち込みました。日本の服の代表例は「着物/作務衣/野良着」など。
特徴は
• 直線裁断
• 布の形を大きく変えない
• 体にフィットさせない
つまり「布を活かす服」です。イコール「切らない」「縫わない」的な発想です。
山本耀司が語る「切らない」「縫わない」は実際にはこういう意味です。
なるべく布を壊さない
・必要以上に裁断しない
・パターンをシンプルにする
・体型を強調しない
・余白を残す
結果として
・大きいシルエット
・ドレープ
・非対称
・黒
といった山本耀司らしい服になります。
これが「アンチファッション」
1980年代にパリで発表した時、
ファッション界は
・女性を美しく見せる
・ボディラインを強調する
・色や装飾
が主流でした。
そこに山本耀司は
• 黒
• 大きい服
• 破れ
• 未完成
を出しました。
つまり「ファッションに対するアンチ」だったんです。
山本耀司の思想を表す言葉
「服は未完成でいい」
「体を守るための服」
「布を尊重する」
つまりデザインより布の存在です。