
【Yohji Yamamoto】POUR HOMME 2024-25 A/W 思いがけない物語_境界の曖昧さ

思いがけない物語 -境界の曖昧さー
Yohji Yamamoto POUR HOMME 2024-25 A/Wコレクションは多彩な様式 - 両義性、挑戦、緊張、弁証法 - に溢れている。この特異性は思いがけない物語を紡ぎ、作品を真実の場所に押し運び、一貫性を持って存在している。男性的なものと女性的なものが共存し、服がその境界を分離することなく、曖味にする。
ゆったりとした結び目の詩人風のブラウスや、肩の尖ったコート、肖像画が描かれたジャケットの中にはシャツ、ベスト、そして更にジャケットを重ねたレイヤードスタイル。革のライダースジャケットに、ヘリンポーンや縞柄のウールブルゾンを流れるような長いジャケットの上に羽織る新しいコーディネート。
ポーズを取る女性の絵、背中と前身頃に縫い付けられた暗号のような、あるいは神秘的なメッセージ。暗いメタルのプレスレットはジャケットの上に着けられ、胸元にはメッシュの首飾り、革と鎖で作られたネックレス。ブラシで塗ったような鮮やかな柄で覆われたシャツに合わせたサスペンダーで吊るされたスカート。
▶︎時のゆったりとした流れに身をまかせるかのよう。抜け感のあるテーラリングを中心に、ワークウェアの要素、ミリタリーウェアのディテールを取り入れ、今季のヨウジヤマモト プール オムは、渋くも包み込むような温かみを感じさせる。
▶︎こうしたテーラリングには、フロントのラペルを切り離し、ショルダーにはエポーレットをあしらうなど、随所にディテールのアクセントが施されている。しかし、抜け感のあるテーラリングの佇まいを損なうことはない。
モデルは時に、物語を語るかのように2人1組でランウェイを歩き、私たちの想像力をかきたてる。服に織り込まれた冗談めいた銘文は、ダダイズムに通じるものがある。それらは何かを意味するのか?
あるいは意味はないのか?一「私が意味を愛するのと同じくらい、私はその敵でもある」山本耀司の歌声が流れる中、驚きに導かれるまま、予期せぬ服が観る者を誘う。挑発的で詩的な優美さは、思いがけない物語を語っている。
▶︎コレクション全体を通して見られたのが、ストラップやフリンジなどのディテールだ。ジャケットやコートにはストラップをゆらりと垂らす。
このストラップを使ってコートの裾をくるりと返すなど、シルエットに変化も加えられている。文字の刺繍からフリンジを伸ばすなど、歩みに合わせて揺れ動くこれらのディテールが、時間の流れと呼びかけ合う心地よい律動をもたらしている。
文字の配列、置く角度等の配置までも全てデザイナー山本耀司氏が設定している。
▶︎シャツには赤やピンクのグラデーション、花柄を描きだすなど、手の温もりを感じさせる表現を取り入れた。
コレクション出演
Wim Wenders氏(ヴィム・ヴェンダース / 映画監督)
Max Vadukul氏(マックス・ヴァドゥクル / 写真家)
Marie Sophie Wilson氏(マリエ・ソフィー・ウィルソン・カー / 女優)
Warren Elis氏(ウォーレン・エリス / 俳優)
Norman Reedus氏(ノーマン・リーダス / 俳優)
Kim Peers氏(キム・ピアーズ / アーティスト)
Hannah O'Neil氏(ハンナ・オニール / ダンサー)
Rhea Dillon氏(レア・ディロン / アーティスト)
Brandon Miel Masele氏(ブランドン・マセレ / アーティスト)