
【ATON】WASHIシリーズのご紹介

ATONのカシミヤ・ウール・アルパカなどの糸と交撚し、ニットやボトムス素材に使用している、「和紙糸」についてのお話し
和紙の歴史は1400年に生まれたものと言われ、国家→貴族→武士→町人という流れで普及したそうです。西洋で生まれた洋紙と東洋で生まれた和紙は、全く異なる特徴を持ち、洋紙の原材料は繊維の短い針葉樹から出来たパルプで、表面が滑らかで耐久性に乏しいです。
それに比べて、和紙は楮(コウゾ)・三椏(ミマタ)など繊維の長い植物から作られているので、耐久性が非常に高く、現在では重要無形文化財や絵画の修理修復に使われています。
ATONで使用している和紙糸は、新潟県の山間の長閑な工房で作られています。四国で作られた糸の元となる極薄の和紙を、この工房で気の遠くなる加工を施し、ようやく和紙糸となります。
和紙糸の良さ
・綿糸に比べて重さは約半分で、軽く楽な着心地が創り出されます。
・表面に毛羽が立たない滑らかさが特徴。
・しっとりとした独特の手触り感、風合いが楽しめます。
・コットンの6倍の吸湿性。
・吸湿効果によるバクテリアを抑えた防臭効果。
・繊維に適度な隙間があるため吸水性も良く、汗をかいてもすぐに乾いてベタつかない。
・肌に直接触れてもチクチクしにくく、デリケートな肌にも安心。
・耐久性が非常に高い。
・環境にも人にも優しい素材。
はじめは、極薄の和紙をカットするところから始まります。撚糸する相手の糸(カシミヤ、アルパカ、ウール)に対して使用する幅は異なりますが、幅1.2mm〜1.5mmにカットします。
和紙をカットしただけでは平たい状態なので、糸に撚りを数回にわたってかけ、ようやく糸状になります。その撚った糸を筒状に編み立てます。
糸に伸度を与える為にとても重要な工程です。
更に、糸を柔らかくする為に、編まれた筒状のまま、地下水で洗ってから数日間かけて自然乾燥させます。
冬場の工房はとても寒く、長くて約10日間かけて糸をゆっくり自然乾燥させます。
乾燥した筒状編み地を長い棒に着せつけ、上端から手作業によって編み地から糸を1本ずつ丁寧に解いていきます。気の遠くなる作業です。
その解いた糸をきちんと巻き直したら、ようやく和紙糸が完成します。
とても丁寧に時間をかけて作られた和紙糸から生まれる製品は、世界でも類をみない仕立て映えと機能を備え、資源を持たない日本ならではの職人によるモノ作りです。